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発達障がいとマルチタスク: 二つ以上のことを同時にできない理由

発達障がいとマルチタスク: 二つ以上のことを同時にできない理由

一日中忙しくしているのに、なかなか進まない…。それは、マルチタスクが得意ではない人々が抱える共通の悩みかもしれません。

集中力の欠如やタスクの切り替えに時間がかかるなど、マルチタスクが苦手な人の特徴はさまざまです。

特に、発達障がいを持つ人々は、複数のタスクを同時にこなすことが難しいとされています。

この記事では、マルチタスクが苦手な人の特徴やその理由について探ってみましょう。

仕事や学業、家庭生活など、日常のさまざまな場面でマルチタスクが求められる中で、なぜ一度に複数のことをこなすことが難しいのか、その理由を解き明かしていきます。

また、発達障がいとマルチタスクの関連性や、その克服に向けた具体的な対策にも触れていきます。

マルチタスクが苦手な人々の悩みを理解し、より効果的な日常の過ごし方を見つけるために、今回の記事をじっくりと読んでみましょう。

 

マルチタスクが難しい人の特徴

マルチタスクが苦手な人の特徴は以下の通りです。

  1. 集中力の欠如
  2. タスクの切り替えに時間がかかる
  3. エラーが増える
  4. ストレスや焦りを感じやすい
  5. 優先順位の付け方が難しい
  6. 作業の遅れや忘れが生じる

詳しく見ていきましょう!

仕事や学業での課題

発達障がいを持つ人々は、複数のタスクを同時にこなすことが難しい場合があります。

仕事や学業において、同時に複数の課題をこなす必要がある場合、彼らは集中力を保つことが難しく、タスクの切り替えに時間がかかることがあります。

運転中の困難

マルチタスクは運転中でも重要です。運転中に音楽を聴きながらナビゲーションを確認したり、同時に会話をしたりすることは、発達障がいのある人にとっては困難です。

彼らは一度に1つのことに集中することが得意であり、同時に複数の情報を処理することが難しいことがあります。

勉強での苦労

学業においても、複数の科目や課題を同時に進めることが求められます。

しかし、発達障がいを持つ人々は、同時に複数の教科書を読んだり、複数の課題をこなすことが難しいことがあります。

彼らは一度に1つのことに集中することが得意であり、情報の切り替えが難しいことがあります。

マルチタスクが求められる日常の場面

家庭、学校、職場などでマルチタスクが必要になります。たとえば、以下のようなものがあります。

    • 家庭:歯磨きをしながら日記のネタを考える、勉強をしながら会話をする、本を読みながらメールを返信する。
    • 学校:先生の話を聞きながらノートをとる、自分の意見をまとめながら友達の意見を聞く、次の授業の準備をする。
    • 職場:電話応対をしながらメモをとる、複数の案件がある場合に全体のバランスを見て同時進行する、お客様と会話をしながら頼まれたものを準備する。

病気や障がい? 二つのことを同時にできない原因

ふたつのことやマルチタスクを同時にできない原因は、なにかの病気や障害が原因なのでしょうか?

詳しく見ていきましょう。

同時処理型と継次処理型の認知処理の違い

発達障がいを持つ人々は、同時に複数の情報を処理する「同時処理型」の認知スタイルではなく、「継次処理型」の認知スタイルを持っていることがあります。

継次処理型の人々は、一度に1つのことに集中し、情報を順番に処理することが得意です。

性差による影響はない

マルチタスクの難しさは、性別による影響は受けません。男性と女性の間で同様の認知スタイルの違いが見られることがあります。

前頭前野は脳の司令塔で、「考える」「判断する」「記憶する」「集中する」「行動や感情をコントロールする」などの重要な役割を担っています。

タスクを行う際に適切な判断を行いながら遂行していくのも前頭前野の役割です。

発達障がいの人は一度に一つのことしかできなくなりがちです。

発達障がいの特性とマルチタスクの関連

発達障がい(ASD・ADHD・LD)では、脳の前頭前野の機能不全があることがわかっています。

ADHD (注意欠陥多動性障害) の特性

  • 集中力が続かず、切り替えが難しい傾向があります。
  • 突発的な行動や衝動的な判断が見られることがあります。

ASD (自閉症スペクトラム障害) の特性

  • 社会的な相互作用やコミュニケーションに苦労することがあります。
  • 繰り返し行動や興味の狭さが見られることがあります。

 

発達障がいのある人々は、マルチタスク(複数の作業を同時進行すること)が苦手とすることがあります。この特性について詳しく説明し、具体的な対処法をご紹介します。

マルチタスクが苦手な人の対策

シングルタスクにすること:一つの作業を終わらせてから次のタスクに取り掛かるようにする。中途半端なやり残しや抜けを防ぎやすくなります。

確実なタスク管理:ToDoリストを作り優先順位をつける、タスクは1つずつ片付ける、新しいタスクができたらすぐにメモをするなど。

マルチタスクができないからといって、生活ができないわけではありません。

自分なりの原因と対策を知っておくと、より快適に日常を送れるでしょう。

 

まとめ

この記事では、マルチタスクが苦手な人々の特徴やその理由について詳しく解説しました。

まず、マルチタスクが難しい人の特徴として、集中力の欠如やタスクの切り替えに時間がかかること、エラーが増えること、ストレスや焦りを感じやすいこと、優先順位の付け方が難しいこと、作業の遅れや忘れが生じることなどが挙げられます。

次に、発達障がいとマルチタスクの関連性について探りました。

発達障がいを持つ人々は、同時処理型ではなく継次処理型の認知スタイルを持つことがあり、一度に1つのことに集中し情報を順番に処理することが得意です。そのため、複数のタスクを同時にこなすことが難しいのです。

最後に、マルチタスクが苦手な人々が取り組むべき対策について紹介しました。

シングルタスクにすることや確実なタスク管理を行うことで、効率的に作業を進めることができます。また、自分なりの原因と対策を知ることで、より快適に日常を送ることができるでしょう。

マルチタスクが苦手な人々が抱える悩みを理解し、適切な対策を取ることで、より充実した生活を送る手助けとなることでしょう。

  • この記事を書いた人

よっと

筑波大学心理学類卒。心理学と障害科学を学ぶ→放課後等デイサービス勤務。発達障害児と実践的に関わる→開発エンジニア◆自身もADHDとうつ病で手帳3級◆埼玉県出身の24歳

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